「留学体験記」University of Edinburgh MSc International Relations、MKさん

皆さん、こんにちは!日本スコットランド交流協会です。
スコットランドへ留学をされたJSA奨学生MKのさんよりレポートを頂きました!
〈目次〉
・エディンバラでの生活
・授業
・修士論文(DIssertation)
・留学後の進路
・留学を終えての感想
・余談:エディンバラにきて驚いたこと


エディンバラでの生活
 一番印象に残っていることとしては物価でした。渡航前はイギリスの物価は高いと聞いていましたが、実際に渡航してみるとエディンバラのスーパーの食料品は日本より安いと感じることが多く、実際日本に住んでいた時の一人暮らしの食費よりもかなり安く済みました。近くにショッピングモールがあり、日本ではあまり見られない食材も多かったので、凝った料理にも何度かチャレンジしてみました。一方外食は日本以上に高くなるので、外食が増えるとあっという間に食費がかさばります。とはいえずっと自炊をするのも飽きてしまうので、たまに有名なローカルフードを食べていたりもしました。
スクリーンショット 2023-11-07 14.16.18.pngエディンバラで有名なローカルフード店のoink。よく人が並んでいます。

スクリーンショット 2023-11-07 14.16.42.pngエディンバラ城の近くのアイスクリーム店で。

 また文献を読む際は電子文献が非常に多く、目の疲れを感じることが多かったので定期的に外に散歩しにいったり、近くの丘を登ったりしてリラックスしていました。エディンバラは冬は厳しいですが、それ以外の季節は比較的過ごしやすく、ランニングしている人も多く見られました。留学中の勉強は非常に大変な上、特にエディンバラは冬になると日照時間がとても短く、午後3時くらいに日が沈んでしまうことも珍しくないので、なるべく早い時間帯に外へ出て、日光を浴びておくことをおすすめします。
スクリーンショット 2023-11-07 14.16.54.png寮の付近の丘から見える風景。勉強に疲れた時は散歩していました。


エディンバラでの観光
いくつか私がエディンバラで観光した場所を紹介したいと思います。

スクリーンショット 2023-11-07 14.17.08.pngスコッチウイスキーエクスペリエンス

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エディンバラ国立博物館

スクリーンショット 2023-11-07 14.20.07.png干潮時しか渡ることのできない島、クラモンド島。


授業
 ほとんどの授業はコロナの影響によりオンラインでの実施で、対面授業が1~2授業あるくらいでした。ただし対面授業の参加者も生徒のモチベーションが減少していたのか、それほど多くなかった記憶があります。オンライン授業の手法も授業ごとにバラバラで大学側も試行錯誤しているようでした。例えばある授業では、Teamsによるオンライン授業を全体に対して毎週実施するものや、オンライン掲示板を用いて意見を入力してディスカッションするような授業、小グループに分けられ、各グループ毎にオンライン授業を実施するモジュール等がありました。コロナ前における生徒の評価は授業中の発言などを含んでいたようでしたが、私の在学中は基本的に全授業レポート評価となり、必ずしも授業に出席しなくても良いということになりました。そのため、オンライン授業においても参加が見られない学生もいました。
 一方でレポートが良ければ評価も上がるため、私の大半の勉強時間は文献とのにらめっこで終わりました。学期期間中はほぼ毎日一日10時間以上勉強し、多くの文献を読み込み、レポートにおいては単なる文献のまとめで終わらず、なるべくそのテーマの複雑性を取り上げつつ、自身の考えを盛り込んでいくよう意識していました。前期時点では論文のスタイルにあまり慣れず、思うような評価を得ることができませんでしたが、他生徒の評価の高い論文を参考にすることで、論文の書き方というものを徐々に学び、後期では高い評価を取得することができました。


修士論文(DIssertation)
 修士論文の執筆に際してはかなり綿密に計画を立て、約3ヶ月間(4月〜7月)で集中して早めに終わらそうと考えていました。最初に担当教授との面談を実施し、その時点で考えている執筆内容を相談し、もう少し取り扱う内容の焦点を絞ったほうが良いなどといったアドバイスや、論文の導入部分の組み立て方等について助言を頂きました。その後1~2回ほど教授との面談を経つつ、具体的な内容を固めていきました。論文執筆の際は図書館へほぼ毎日のように通い、自習スペースで執筆を行ったり、必要な参考文献を読んだりしていました。また、評価が高かった過去の修士論文も共有されていたのでそちらを事前に読むことで、大体のボリューム感や論理構造等を意識して自分の論文にも反映しようとしていました。論文は自分がこれまで学んできたことの集大成だったので、今までの学びを振り返りつつ、自分の考えを広げていく感覚が非常に楽しく、あまり苦にならなかった記憶があります。最終的には70ページ超となり、自分でも達成感のある論文が執筆できました。評価もDistinctionを頂き、喜びのあまり跳ね上がった覚えがあります。論文の執筆はかなり時間がかかるので、なるべく早めに計画を立てて、過去の優秀論文を参照しながら取り掛かると良いかと思います。

スクリーンショット 2023-11-07 14.17.56.png図書館の様子。試験前になると多くの学生がここで勉強します。


留学後の進路
 現在は国際NGOの日本支部にて中東・アジアを中心した各国の支援事業のマネジメント業務に従事しています。留学後も国際協力の分野に引き続き関わっていきたいと考えていたため、留学中は将来の業務に関連性の高い授業を選択していました。現在の仕事でも留学中の学びは役に立っていると感じます。また、業務中は多量の英文を読む必要がありますが、留学中はかなりの本を読んでいたため、留学前よりも格段にテンポよく、また負担なく読むことができています。現地で知り合った日本人の方の中には一時休職して渡航しているような方もいらっしゃいましたが、私の場合は退職して渡航したため、就職活動を修士論文の執筆と並行しながら行っていました。プライベートの関係もあり、日本の団体を中心に求人を探していましたが、英語面接の対策の必要性もあったため、大学における面接練習サービスも活用して、数回程度練習しただけでしたがそれでも自信がつきました。実際、面接中に英語で質問されることもあり、対策しておいてよかったと感じたのを覚えています。また、大学ではLinkedinの活用を非常に推奨していました。Linkedinを活用することで卒業生同士のコネクションも生まれ、より幅広い選択肢が増えると就職支援サービスの担当者が言っていました。このような現地特有の就活情報を知ることできるのも強みだと思いますので、特に現地で就職を目指す方はぜひ大学の就職サービスを活用することをおすすめします。


留学を終えての感想
 社会人留学で金銭的には余裕がなく、かつコロナが流行していた時期だったため、不安な思いも抱えたまま渡航したのを覚えています。オンラインでの留学も可能な状況でしたが、一生における大きなチャレンジだったので悩んだ末に渡航することを決意しました。しかし、やはり現地へ渡航することで私としては非常に良い経験になりました。エディンバラの街並みは今思い出しても非常に素晴らしく、勉強にも集中しやすい環境が整っており、最終的には総合でDistinctionという成績で卒業することができました。渡航前は「一生もうできないと思えるくらい思いっきり勉強して最高評価を取りたい」という思いだったため、実現できて本当に嬉しかったです。また、機会は限られていたものの、対面授業を通して他の生徒や教授の方と交流することができました。刺激的だったのは多くの生徒の意識が高く、授業中積極的に発言していたことです。当たり前といえば当たり前かもしれませんが、日本の学部時代ではそのような光景がほとんど見られず、海外の学生の意識の高さを垣間見ました。また、丁度米国の大統領選挙が行われていた時、数人のフラットメイトがTVでその様子を見ていたのも驚きました。このような光景は中々日本では見られないのではと感じていました。
 一方で残念だったことは授業の英語は何とか聞き取れるものの、日常会話の英語のリスニングが非常に大変で、中々他の生徒との交流がうまくいかなかったことでした。留学前はスピーキングのほうが課題になるのではと思い、スピーキングの練習をしていましたが、実際に渡航してみるとリスニングの方がはるかに大変で、もっと留学前にリスニングを鍛えておけばよかったという後悔が残っています。また、金銭面についても円安の影響を受けて、現地での生活をかなりカツカツな状態で過ごしていたため、観光がほとんどできなかったということもありました。為替変動が留学中に生じる可能性もあるので、観光をいっぱいしたいと検討している方は見込み金額以上に留学資金を確保しておくのが望ましいかと思います。
 以上、後悔している点もありますが、全体的には私の人生にとっては非常にプラスとなる経験がこの留学を通して得られたと思います。本留学のためにサポートくださった日本スコットランド交流協会の皆様、および支援者の方々には深く御礼申し上げます。本体験記が留学を検討している皆様のお役に立てれば幸いです。


余談:エディンバラにきて驚いたこと
・傘を差している人が少ない。エディンバラではゲリラ豪雨も多いが、皆フードをかぶったり、そのままずぶぬれになりながら歩いている人がいる。
・歩きスマホをしている人をほとんど見ない。
・明らかに寒いのに短パン半袖の人をよく見る。


最後までお読みいただきありがとうございます。スコットランド留学がどのようなものか、少しでもご理解いただけたなら幸いです。本年度の奨学金申請の詳細については、続報をお待ちください。ご不明点はscholarship@jpn-scot.org (スコットランドの修士課程留学奨学金係)までお気軽にお問い合わせください。