「留学体験記」University of Edinburgh MSc Teaching English to Speakers of Other Languages (TESOL) 、MHさん
皆さん、こんにちは!日本スコットランド交流協会です。
スコットランドへ留学をされたJSA奨学生のMHさんよりレポートを頂きました!
〈目次〉
・留学後の就職活動の仕方
・留学先でのアクティビティについて
・周りの人はどんな人?
・留学に行く前に知っていたらいいこと
・授業の雰囲気、どんな授業?進め方など
・受講した科目について
留学後の就職活動の仕方
私は9月現在もエディンバラに残り、現地でpart-timeの仕事をしながら日本や英国、その他の国を対象に、英語教師または英語教育に関連する職を探しています。まだ、就職活動中ですが、特に英語圏の国においてEFL(English as a Foreign Language)教師の職を得るのはとても難しいです。私は、修士課程の前の準備コースであるPre-sessionalに参加しました。そこで出会った講師の方から、英語ネイティヴ話者でも昨今は英語教師としてFull-timeで就職するのは難しいとのお話を伺いました。しかし、私の周りには、同期の日本人の方でイングランドの大学付属の語学学校にて、日本語クラスの Teaching Assisstant として修士のコース終了後、働かれている方もいます。なので、希望する職種などの幅を広げれば、可能性は英国内での就職も大いに可能であると思います。
その同期の方や私も含め、本格的に就職活動を開始したのは、修士論文の提出後の8月中旬です。中には、修士課程の開始と同時に始められている方もいらっしゃいました。 私はassignments や dissertation に集中したかったので、コースが終了してから始動しました。
写真:Moray house
留学先でのアクティビティについて
エディンバラでできるアクティビティには魅力的なものがたくさんあります。まずは、エディンバラの街全体がその美しさから世界遺産に登録されていることです。そのため、街を歩いて散策するだけでも、一日が潰れるほど素敵な街並みです。その他にも、私が留学前に知っていれば良かったなと思うアクティビティ関連を簡単に共有させていただきます。
<エディンバラ内>
1. Farmer's Market : 毎週土曜日にエディンバラ城近くの Castle Terrace にて開催されるマーケットです。現地の食材を使用したベーカリーや青果店、八百屋などが出店しています。私のおススメは、イタリア人夫婦が自家製のティラミスやラザニアなどといったイタリア料理を提供する Nonnas Italian Kitchen です!彼らのイタリア料理は絶品です。
2. Teviot Light Switch On : エディンバラ大学の Student Assosiation によって運営される Teviot という建物において、11月に行なわれるクリスマスのライトアップイベント。バグパイプの演奏もあり、学生のみならず現地の方々も多く参加されます。
3. Christmas tree lights up Old College quad : こちらは、Old College という法学部のキャンパス内にて、11月の下旬に行なわれるクリスマスのイベントです。キャンパス内に巨大クリスマスツリーが設置され、ライトアップが行なわれます。校長や聖歌隊、バグパイプの演奏など、豪華な内容です。2022年は、無料の紅茶やコーヒーの配布もされていました。
4. Fringe Festival : 7月下旬から8月にかけて開催される Show イベントです。エディンバラの Fringe Festival は世界各地から多くの人が参加するほど人気です。Stand up や 参加型のショーなどたくさんのイベントが開催されます。修士論文の息抜きや提出後の思い出作りに最適です!
5. Christmas Market : 11月下旬から12月にかけて開催されるクリスマスマーケットです。
6. Hogmanay Festival : エディンバラ最大の年越しイベントです。中心街の Princes Streetが通行止めされ、花火やコンサートなどが行なわれる盛大なイベントです。
写真:Christmas tree lights up Old College quad
写真:Hogmanay Festival
<エディンバラ外ースコットランド>
International Student Tours : エディンバラ大学やグラスゴー大学の留学生たち(一般の方も参加可能)向けのスコットランドの観光名所へのツアー。学生向けなので、ツアーの料金も格安です。同大学や他大学の学生との交流ができ、コミュニティを広げるのにも最適です。おススメのツアーは、Isle of Skye Weekend Tripです!
写真:International Student Tours で訪れた Highland
周りの人はどんな人?
私が所属していた TESOL コースは、約200名もの学生が所属する大規模な学科です。今年は学生の国籍は9割が中国でした。日本人は私を含め3名いましたが、学部卒業後にダイレクトに修士課程に進学した日本人は私のみでした。一方で、中国人の学生は大半が私と同様学部を卒業した直後の人でした。他には、インドネシアから1名という状況でした。正直、25名のワークショップではディスカッション中心なのですが、私以外は全員中国人なので、中には中国人同士中国語で話し合いを始める学生もいました。そのような場合は、私が英語で話してくれるように声をかけるしかなく、エディンバラなのに、なぜ英語で話してくれるかという声がけをしなくてはならないのか疑問でした。私は、折角のディスカッションの機会なので、tutor に相談をし、ワークショップ全体に伝えてもらいました。
留学に行く前に知っていたらいいこと
私は、留学に関する情報はエージェントと Twitter 、イギリスに住む友人たちから収集していました。ただ、Facebook のアカウントがある方は、① The Meadows Share と ② The Meadows Chat というエディンバラに住む人たちのコミュニティアカウントに参加することをおススメします。①では、フラットのテナント募集や物品の無料配布などが行なわれています。それだけでなく、共通の趣味を持つ人たちでの meet up の声かけもされています。私は②を多く使用しました。②は、倫理的に問題がない範囲であれば、あらゆる情報について様々な人から意見をいただけます。例えば、私は、カウンシルタックスの支払い方法や、大学の寮以外のエージェントを利用したフラット探しの際に、自分の近況をシェアして、詐欺の疑いはあるかについて30名以上の方からご意見をもらいました。I am from Japan という情報を投稿文に加えると、エディンバラに住む日本人の方々ともつながれるので、現地について事前に知っておきたい情報で、インターネットだけでは探しきれない場合は、利用することをおススメします。
写真:満開の桜の4月の Meadows
授業の雰囲気、どんな授業?進め方など
TESOLでは、前期に4つの必修科目、後期に残り一つの必修科目と2つの選択科目、修士論文というコース構成です。
授業は、1) 事前録画されたレクチャー視聴、2) 毎週指定される readings を読みレクチャーの内容とリンクさせて要点を理解する、3) 少人数ワークショップへの参加、という進め方です。事前録画されたレクチャーや教材、課題及び修士論文提出などは全て、Learn という Learning Management System を利用します。このシステムを使い慣れるのに時間がかかるので、留学前に使用方法について知っておくと、コース開始時の勉強が円滑に進められると思います。
毎週の readings には、Core Readings と Additional Readings があります。Core に関しては熟読する必要がありますが、Additional は、時間が足りない時は skim-read をするように講師から提案されました。レクチャーと reading をこなす過程で出てくる自分の理解を他の人と共有するのにワークショップがあります。ワークショップでは、20名程の少人数でディスカッションやプレゼンテーションを行ないます。
写真:ワークショップ開始前の様子
私が受講した科目は下記の一覧です。
<前期>
・Language and the Learner [必修]
言語習得における意味形成や言語発達、多文化コミュニケーションやリテラシーに影響を与えるプロセスについて理論中心で学びます。課題は、2000 words のエッセイと毎週課される reflection blog です。
・Second Language Teaching Curriculum [必修]
言語指導者の視点から、第二言語カリキュラム、教科書の分析、評価の過程について localization の必要性を理論を基に学びます。課題は、実際の言語教育を含む教育機関で使用されているシラバスや教科書、カリキュラムの分析、評価、発展についての批判的な考察を 2500 words にまとめたエッセイです。
・TESOL Methodology [必修]
Teacher Learner が、コミュニケーション言語教育における実証的研究を中心に教授・学習アプローチを学びます。このモジュールは、TESOL においてメインともいえ、スコットランドの小中高への学校訪問や micro teaching を行ないます。課題は、4000 words のエッセイです。エッセイでは、TBLT や CLIL などの言語教授法を一つ選択し、自身の指導コンテクスト(私の場合は日本)での適用について考察します。私は、CLILについて考察し、Distinction という最高評価をいただきました!
・The sources of knowledge [SOK]: Understanding and analysing research literature [必修]
修士論文のためのモジュールです。研究論文を構成する際の土台となるパラダイム(哲学)を学びます。課題は、Annotated Bibliography とConcept map という論文計画の際のパラダイムの仕組み(質的・量的研究に伴うもの)についての概念地図です。
<後期>
・Conceptualising research [CR]: Foundations, assumptions and praxis [必修]
前期の SOK と連携しているモジュールです。CRでは、SOKで学んだパラダイムを基に研究における ethical issue への対処方やサンプリングといったより実践的な論文デザインについて学びます。課題は、指定の研究論文における哲学的立場や方法論、ethical issue の対処についての批判的考察を 2000 words のエッセイとして提出することです。
・Online Language Learning [選択]
テクノロジーを介した言語教育(例:Technology-mediated TBLT, Massive Open Online Courses [MOOC] etc.. )を学びます。そのため、レクチャーもワークショップも全てオンラインで行われます。課題は、Canvas という Virtual Learning Environment [VLE]オンライン教育プラットフォームを利用してショート・オンライン言語コースをデザインすることです。加えて、デザインしたオンライン言語コースについての根拠や分析をまとめた 2500 words のエッセイを提出します。
・Evaluation and Design of TESOL Materials [選択]
TESOL教材を評価、適用、デザインするための知識とスキルを学びます。教材発展に関する理論を基に、出版されているTESOL教材を様々な方法で適用・補足し、様々な教授状況に対応した独自の教材をデザインできるよう訓練します。課題は、教育機関で実際に使用されている教科書や教材の評価・適用又は補足を 4000 words でまとめたエッセイです。
・Dissertation
12,000 words (〜 13,200 words) で言語教育に関連した研究。8月中旬に提出。
私は、Japanese junior high school English teachers' perceptions on using multi-media for differentiated listening instruction というテーマで英語リスニング指導におけるDifferentiation(個別化教授法又は個別最適化) についての研究を行ないました。
最後までお読みいただきありがとうございます。スコットランド留学がどのようなものか、少しでもご理解いただけたなら幸いです。本年度の奨学金申請の詳細については、続報をお待ちください。ご不明点はscholarship@jpn-scot.org (スコットランドの修士課程留学奨学金係)までお気軽にお問い合わせください。